「飲めばたちまち若く美しくなれる魔法の薬じゃよ」

気泡ガラスの小瓶を見せて、訪問販売の魔女らしきババアが戸口で言った。

シワシワのババアだ。濃い紫のローブもぼろぼろ。

「その薬、ほんまに効くんか。ババアが自分で飲んでみ?」

ドアチェーンごしに言うと、ババアはきょとんとした。

「アッハイ……」

そう言うてババアはごくごくとひと瓶飲んだ。

数日後。また戸を叩く音がした。

「あの時、助けていただいた者です」

戸を開けると美魔女が立っていた。

それ以来、美魔女が私の家に住んでいる。

――完――

TEAR DROP.